2373人が本棚に入れています
本棚に追加
思いの外
晩御飯会場は和やかで。
ちょっと気が抜けた
のと、
ちょっと安心
なのと。
「蜜、ビール」
あ、ハイハイ。
お兄ちゃんがもう何本目?だかのビールを要求してくる。
なかなか楽しそうに話す
兄と若先生を尻目に冷蔵庫からビールと漬け物を出した。
「さっきの事、忘れんなよ
……吉川」
「はい」
あたしがテーブルに近付くとなにやら真剣な、あたしには話の見えないやり取りをしていた二人。
だからと言って、気にならない訳ではなかったけど、あえて聞き直す必要もなかった。
「お兄ちゃん、今日はよく飲むねぇ」
「オレだって、毎日飲みたいんだよ」
コップに注いだばかりのビールをあっという間に飲み干してしまう兄は、やっぱり医者で。
よっぽど確実に何も起きない、時にしかアルコールは口にしなかった。
今日はちゃんと代わりがいるんだなぁ、と思ってビールを注ごうとすると若先生が先にそうしていた。
「なんだ、よしかわ、恩を売る気か!」
「いえ、別に」
おいおい、あなた、高々ビール注いだ位で、恩も何もないでしょうよ。
なんだかんだ言いながらも
こうして楽しそうに飲んでいる二人を見て、ちょっと嬉しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!