13

38/39
前へ
/39ページ
次へ
思いの外 晩御飯会場は和やかで。 ちょっと気が抜けた のと、 ちょっと安心 なのと。 「蜜、ビール」 あ、ハイハイ。 お兄ちゃんがもう何本目?だかのビールを要求してくる。 なかなか楽しそうに話す 兄と若先生を尻目に冷蔵庫からビールと漬け物を出した。 「さっきの事、忘れんなよ ……吉川」 「はい」 あたしがテーブルに近付くとなにやら真剣な、あたしには話の見えないやり取りをしていた二人。 だからと言って、気にならない訳ではなかったけど、あえて聞き直す必要もなかった。 「お兄ちゃん、今日はよく飲むねぇ」 「オレだって、毎日飲みたいんだよ」 コップに注いだばかりのビールをあっという間に飲み干してしまう兄は、やっぱり医者で。 よっぽど確実に何も起きない、時にしかアルコールは口にしなかった。 今日はちゃんと代わりがいるんだなぁ、と思ってビールを注ごうとすると若先生が先にそうしていた。 「なんだ、よしかわ、恩を売る気か!」 「いえ、別に」 おいおい、あなた、高々ビール注いだ位で、恩も何もないでしょうよ。 なんだかんだ言いながらも こうして楽しそうに飲んでいる二人を見て、ちょっと嬉しくなった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2373人が本棚に入れています
本棚に追加