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ミツ、と呼ばれる度に 誘われる(いざなわれる)力のベクトルは右肩上がり 呼吸が覚束無くなるくらいに 酸素が足りなくなる。 零れた吐息は淫靡な調べ 絡みついたお互いを離す術は 少しも知らない 混ざり合った部分が 熱く溶けて 奏でる音に欲情する。 「りょ、せん、せ」 「…なに…」 揺れ動く視界に 霞んでいく景色 「…っ、や……」 その端っこで あなたの切ない表情を捉えて 苦しそうに眉を寄せ 蜜、と呟いた 知ってるの? あたしをケダモノに変えてしまう あなたの存在を…… その後の記憶は曖昧で 次の朝、起きて気付く傷跡に ただただ驚きを隠せず。 「――蜜」 視線が合ってこれ以上ないくらいの恥ずかしさが一気にあたしの中で割合をあげていく。 起きた直ぐの音は掠れていて それがまた、セクシーで。 「夕べはどうも」 そう言って 眼を細めて 意地悪く微笑んであたしにキスをした。 手繰り寄せたタオルケットから少し顔を出して 綺麗な筋肉の上に咲く 微かに紅く色付くいくつかのマークを見つけて思わず零れたのは 「え?」 疑問。 絶句…しているあたしに気付いた若先生 「なに」 「い、いえ」 慌てて首を振ったけど。 すると若先生は、あぁ、とまたニヤリと微笑う。
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