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オペ部に辿り着いて なんだかいつもとは違う雰囲気に、でも、よく見る光景に 首を傾げた。 「あ、折原さんおはよ」 「お疲れ様です」 チーフナースの荒井さんが まったく、と言いながらあたしに近付いてきた。 「どしたんですか? みんな、なんか今日、濃い??」 濃い、と言ったのは 何ていうか。 メイクじゃなくて、あ、でもメイクも濃い感じのナースいるかも…… オーラが濃い? 「ちょっとイケメンのドクターが来てんのよ」 「へぇ、そうなんですか」 あ、そうか。 若先生が来てる時とおんなじ雰囲気なんだ。 なるほど、と頷いて あたしは申し送りをチェックする。 「昨日突然、決まってね? あ、今日の矢谷さんのオペに入る事になったのよ」 「あ、じゃあ、あたしもご挨拶しなきゃですかね。 矢谷さんのオペ、あたし内回りです」 「あ、そうよね、じゃ、軽く行こっか」 荒井さんはあたしを促して あたしは申し送りノートを置いて渦中へ向かった。 若いナースが噂し合う隣を通り抜けて、荒井さんがドクター控え室のドアをノックする。 中から聞こえてくるのは 島田先生と福山師長の笑う声。 失礼します、 と言いながらドアを開けた瞬間 耳に入ってきた音は あたしにとっては不協和音以外の何者でもない、それだった。
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