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「まぁまぁ、座って」
部屋の空気がビミョーに重い中、島田先生の能天気な声は健在で。
この人はしょっちゅう居るんだけど、一体いつ休んでるんだろう。
寝なくていい人はほとんど居ないだろうけど、それにしても、昼夜問わずこのテンション。
きっと、あたしが、中山 治樹にヤられそうになた件だな、と予想がつく。
「折原さん」
「はい」
島田先生の音は変わらずで。
今からされるであろう内容の話には似つかわしくない。
「セクハラ、されちゃったんだって?
折原さんカワイーからねー」
ははは、と笑う島田先生に福山さんが突っ込んだ。
「先生、深刻な話なんだから」
とは、言ってるんだけど、福山さんも穏やか~な、ゆっくり~な物言いでそんなに切羽詰まった話ではないようだ。
「あ、いやいや、ごめん。
現場も見たし、聞いたし、中山先生が言うように君が誘った訳ではないのは明白だから、大丈夫」
安心して。と、付け加えて。
「は?見たし聞いたし?ってなんですか」
あたしもそぐわないすっとんきょうな声で聞き返す。
「あ、れ?大森先生、言ってないの」
なんて一応コソコソ話してる風を醸してはいるが、まる聞こえ。
「えぇ、なにも」
飄々と答えた大森先生に
あそ、と返した島田先生は再び話を続ける様子だった。
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