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若先生が居なくなって 寂しいと思う暇が ほとんど、無い…………。 やけに忙しいのは 夜勤が増えたからか? それとも、若先生の代わりに入ってる ドクターがオペばっかりするからか? どっちだ。 どちらにせよ、忙しいのはいい事で。 「おい、折原、今こんなの渡すなよ」 「は?」 あたしはドクターが突き返した 鉗子を受け取った。 「いらねー、こんなの」 「…………そうですか、失礼しました …………折原先生」 若先生の穴を埋めるべく参上した医師は 折原先生と呼ばれる、それはそれは 腕のいいオッサン医師。 型破りな術式と 驚く程の手技を併せ持つ、言いたくないけど 天才型。 知らなかった。 こんなオペをするなんて。 さすが、内戦地仕込みなだけあって 通常では考えられない事を当たり前のようにする。 N大でも大変だそうだ。 そりゃ、そうでしょうよ。 せめて広げてから、手、いれてよ…… と、思いながらも手に持った鉗子を使用済みにした。 お兄ちゃ、もとい、折原先生のオペに参加し出して、早3か月 これでも慣れてきた方だ。 荒井さんなんかは折原先生のオペで器械出しをするとその後の気力が続かないとか。 綺麗な結紮(けっさつ)。 若先生も綺麗なんだけど。
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