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「体、ボロボロかも……」
「ほんと、ですねぇ」
夜勤明けの上野さんとあたしは更衣室へ入るなりへたりこんだ。
夕べの救急搬送の多いこと……
一体誰があんなに送り込んでくるんだ……。
日本の救命医療現場は供給が足りていない。
どこでもそうだと思うけど、絶対数が少なすぎる。
「蜜、まさかとは思うけど……」
「はい……」
「日勤?」
「まさか!」
「だよねぇ」
お互い力なく笑いながら着替えて
帰路につく。
「明日は?」
「朝から来ます」
「ま、マジで!」
「はい。来ます」
今日がこのまま休みで
明日はバッチリ朝から勤務。
そして、オペが2本。
あぁ、御愁傷様、と言いながら
上野さんは反対方向の電車に乗って帰って行った。
極力、お休みを避けているあたしにとっては
有難い勤務で。
体が資本なだけある仕事業界で
今は病院と家とジムの三角往復があたしの習慣だった。
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