16

2/39

2120人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
あれだけ大量に飲んだのに 今は打って変わって意識が 覚醒方面へ向かう自分がハッキリ分かる。 お、おかしいでしょう。 今の、今!アルコールに完全支配された って言ったじゃない! 詐欺でしょコレ…… 「…今日の議題はなんですか?」 この沈黙に耐えられず あたしから口火を切ってみたこの度胸を 誉めてあげたい。 「夕べ、覚えてる?蜜」 あたしは頷く。 チラリとこちらを向いてそれを確認してから、また話始める若先生。 「8月に入ったら …アメリカに渡る事になった」 小さく唾を飲み込んで、やっぱり事実なんだと再確認。 「…また、急な話しですね、若先生」 出来るだけ落ち着いたフリをして 丁寧に答えた。 「3年は帰って来ねぇ」 ぎょっ、とした。 さ、さ、さ、3年?? 3年ったら、あたしは完璧に30歳を過ぎてるし 若先生は何気にアラフォーだ。 「……3年、長めですね」 ペットボトルの水を一つ飲み込んで。 込み上げてくる 感情を流し入れた。 「短い方だ」 そうなんだ。 そうなんだよね。 アメリカで、臨床研修を2年くらいするらしい。 でも、臨床研修を受ける為にはこれまた試験がある。 少なくて、3年だな。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2120人が本棚に入れています
本棚に追加