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休みの日は
出来るだけジム通いを心がけていて
だけど、さすがに今日は
具合を悪くすると困るから、を言い訳に
まっすぐ家へ帰った。
若先生がいなくなってからすっかり健全な生活になったなぁ、なんてエレベーターに乗り込みながら考える。
去年の今頃はちょうど若先生と色んな事が始まった時だった。
非日常的、非現実的な毎日できっとスリルに酔って「好き」だと勘違いしてるだけなんだと、
あり得ない事に心も身体も浮かれているだけなんだと、
思っていたんだっけ。
寝不足の頭は
ナチュラルな笑いを連れてきて。
エレベーターの中で何が可笑しいのか
一人でクスクスと、音を立てていた。
部屋に入っても止まらない微笑は
かなりの疲弊を表していて
家の中で起こっている事に意識もさっぱり向いていなかった。
まだ、お昼を過ぎたばかりで
きっとあたしは帰って来ないと思われていたんだろうな。
リビングの扉が少し開いていて
その奥から聞こえる
音。
そこでハッとナチュラルから抜け出して
ドアノブから手を離した。
リビングを抜けたところにある
兄の部屋は
きっとドアが開いていて
そこから聞こえてくるんだなぁ、と。
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