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このドクター二人のコンビも久しぶりで、あたし達の意思の疎通はほぼ無言。
繰り出される会話は、オペの内容が5割、関係の無い話が5割……
「慎んでください」
あたしがピシャリと二人を制する事もしばしばで。
そんな中、やっぱり予定されていた時間よりも早く、終了するオペは
圧巻だった。
「お疲れー」
「お疲れさまでしたぁ」
「吉川先生、相変わらず凄いねー」
「ですね」
「久しぶりに見て震えたわ」
上野さんと高橋さんは口を揃えて言う。
医療廃棄物の処理を終えて
自分係りの器械を洗浄して、消毒にかける。
そして次のオペにバトンタッチ。
オペ室は毎日の予定がもぅだいぶ先まで埋まっている。
そして、だいたいのチームで動くシフトはその一つ一つにうまく割り当てられる。
たまにイレギュラーな物もあるが、
あたしと上野さんは殊更それに慣れていた。
ERでの勤務はとても大変で苦労が多いのは確か。
だけど、自分のスキルが篦棒(べらぼう)に上がってゆくのも確か。
この日もERからの呼び出しであたしはオペ記録を付けて長い廊下をERへと急いだ。
術着で歩く、長身のドクターが二人。
ドキッとした。
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