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その事実に気付いたのはトイレに行って、用を足し、立とうとしたその時。
ゴン
と、いう音の後
暫くして、額が鈍い痛みに襲われた。
真っ直ぐに立ち上がったつもりがちょっと前のめりになったのか、前の扉に頭をぶつけたらしい。
「あー、…………………」
よくない、けいこーだ。
フワフワする足取りでトイレを後にして。
もう、夕焼けが殆ど西の端っこに追いやれた空を見上げて、ヤバい、と呟く。
こんな時なのに、夕闇とのコントラストがそれはそれは綺麗に見えた。
フラフラと席に辿り着いた時には有り得ない光景を目にして、思わず叫び声をあげてしまう。
「ぎゃっ」
「おー、お疲れ、折原」
「お疲れ様です、折原さん」
隣のテーブルには島田先生と、大森先生が鎮座している。
「呼んじゃった」
荒井主任がペロリと舌を出した。
「蜜さん、大丈夫?」
「うーん、大丈夫じゃない……」
あたしは椅子の背もたれにどーんと体を預ける。
「なに、折原、酔っ払い?
めっずらしい事もあるもんだなー」
能天気な島田先生の問いかけは
あたしにはほぼ届いていない。
「うー………ん」
あろう事か
そのまま眠りについてしまう始末。
楽しそうな 会話を遠くの方で聞きながら…………
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