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最近、夜勤入れすぎかなぁ。 深夜のバイタルチェックを終えて 繋がれた機器も確かめた後 今日何度目だろう……… 後悔の念に苛まれた。 今朝目覚めたのは、自分の家でも無く 全くもって知らないお家。 キャミソールとアンダーウェアのみの何とも中途半端な格好。 着ていた筈の洋服はきちんとハンガーに吊られていた。 事の重大さが次第に分かってきて 同時に、にわかに激しくなる鼓動 焦りと飲み過ぎで、嫌な感じの汗が吹き出した。 「………ここ、どこだ」 小綺麗に纏められた寝室。 すぐ側のベランダに続く窓からは もう既に高くまで昇った太陽の光が反射してくる。 二日酔いは無かった だけど、焦燥と罪悪が入り交じった渦が頭の中で、ぐるぐると発生して それが多少の気持ち悪さを引き起こす。 暫く、この空間に異質なあたしが居ることを仕方なしに受け止めて、 部屋を出てみようと決意した。 嫌な予感。 本当に嫌な予感。 だって、もしかして、そうだったら ダメでしょう。 こんな時の予感なんて 大概当たるモノで、やっぱり期待を裏切りもせずに大当たりする。 ドアを開けると、そこはリビングに繋がっていて そこには見慣れた後ろ姿。 振り向いたのは、同じようで同じじゃ無い……… いつもはあげられている前髪が下りていて あぁ、今はプライベートなんだと気付かされた。 「起きたか、酔っ払い」 そう言いながら、ひとつ笑いを落としたそのヒト。 不覚にも、ドキンと心臓が跳ねた。
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