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思いがけず長引いたオペの後片付けと
夜勤チームへの申し送りに時間がかかり
定時より2時間近くオーバーした、20時前にサンロに辿り着いた。
「あぁ、疲れた」
扉を開けるのを少し戸惑って
えぃ、と意を決して中へ入る。
「いらっしゃいませー」
今日は玲奈ちゃんのバイトシフトだ。
「あ、蜜さん!超お久しぶりです!」
少し混み合いだした店内でも
はっきりと数人がこちらに振り返るくらいの響く声量。
あたしは小さく手を振って答えた。
キョロキョロと店内を見回して
目当ての人物を探す。
奥のテーブルで静かに座るそのヒトを見つけて、心臓のリズムが早くなった。
「お待たせしました」
あたしが近づくのをまっすぐに見つめながら、いつものようにピクリとも動かない表情に少し息をのんで。
大森先生の正面に腰かける。
「お疲れ様でした」
「遅れてすいません」
「いえ、私も少し前に着いたところです」
「そうですか、よかった」
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