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「ま、間違い、ありません………」 「どうぞ」 パタリと蓋を閉めて箱ケースごとあたしの方へ差し出した大森先生。 こんな大事な筈のモノを今の今まで所在知れずにしていたあたしの不甲斐なさと、愚かさを恨む。 まぁ、今さら恨んだところでどうしようもないけど。 「ありがとうございます」 間接照明の光を含んだ、紅い石と、透明な石がオレンジ色を反射する。 伸ばした手に、プラスチックケースが触れる。 ケースはひんやりと冷たくて。 「お渡しできずにすいませんでした」 「いえ、私もつい昨日まですっかり忘れてて………」 そそくさとケースを仕舞っていると 上から声がかかる。 「なに?暁(アキ)、このアホ女の知り合い?」 容赦なく放たれたセリフの矢は 実際、アホ女と思われても仕方ないほどの失態をしたあたしにグッサリと突き刺さった。 しかも、見ず知らずのあたしに対して言うセリフじゃないでしょ。 こんなにもハッキリといってのけるのは、もうあのヒトしかいないでしょ。 「………松本さん、こんばんは」 「うわっ、今日は一段とぶっ細工だ!」 「えぇ、えぇ、そりゃぁ、あなたは美しいですよ、はは」
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