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「寒っ」
新しい年が明けてから、このところ寒波続きで。
猛烈な北風の中、なんとか家までの道のりを乗り切る。
「お帰りなさいませ、今日は一段と寒いですね」
「ホントに凄い風でした」
ぐるぐる巻きだったマフラーをやっとの事で外してエレベーターに乗り込んだ。
ついこの間、暦の上では春が到来したけれど、実際のところはまだまだ冬真っ盛りでダウンコートを手離す事なんて出来そうにない。
25の数字がデジタルに点灯して
到着を知らせる。
だんだんと増えつつあった夜勤は
今では月の半分くらいを占めていて
高度救急の生半可では無い勤務内容に、疲れが溜まりまくっていたあたしは、部屋に辿り着くなり自室で倒れこんだまま眠りについた。
遠くの方で
名前を呼ばれて
だけど、もう、起き上がる力さえ
なかった。
今は寝かせて。
実際にそう言ったか、言えたかは知らないけれど
その後、深い眠りについたのは間違いない。
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