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ぶつけた? 「ぶつけてない」 じゃあ、湿疹? 「かゆくないし」 こんな内出血、湿疹である訳が無い。 そう、明らかに内出血で 一つの仮説はどんどんあたしの期待を促してゆく。 糠喜び、だったら凄くショックを受ける事になる。 だから、 まさか、お兄ちゃん、禁断?? 「ナイナイナイ」 あははは、と笑い声の響いたバスルーム。 一応、オチをつけてみた。 逸る気持ちを押さえて だけど、いつもよりも念入りにシャンプーをしてる自分に軽くウケる。 アホか、あたし。 それでも やっぱり期待は膨らみに膨らんでいて もうちゃんと仮説を確認して、結果が分かるまではどうしようもないみたいだ。 「…帰って来てるんですか」 シャワーを流しながら呟いてみる タブに体を沈めて 暫くじっとしているけど いてもたってもいられない衝動がムズムズ沸き上がってくる。 先に 確認しよう、っていうかしなきゃ。 ザバッとお湯が溢れだすくらいの勢いで バスルームから飛び出した。 拭くのもソコソコにまず携帯を見る。 メールは入っているものの お目当てのモノではない事にまずガックリ項垂れた。 じゃあ、どうしよう。 少し現実に戻ってみると 中途半端に濡れた体に寒さがまとわりついていて。 「さむい!」 慌てて部屋着を掴み、またバスルームへとリターン。 「何やってんだ、あたし」 仮説は脆くも壊れそうで 意気揚々からすでに意気消沈気味。 長い髪は乾かすのも面倒で ドライヤーにも時間が掛かる。 やっと準備を終えて、最終確認をするために移動する。 若先生が旅立つ前。 あたしに2つの指令を出した。 ひとつ目は10日に一度は車を動かす事。 ふたつ目はひと月に一度は部屋の掃除をする事。 ホントに律儀、ってほどでもないが ちゃんと守ってきた。 車はたまにお兄ちゃんに職場まで乗っていってもらったりもして。 あたしは、エレベーターに若先生の部屋のカードキーを差し込み、28のボタンを押した。
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