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今回の若先生の帰国は やっぱりオペの為で。 もう、一年以上前に決まっていたものらしい。 「N大ですか」 「あぁ」 夜遅くご飯でお決まりのパスタをつつきながらあたしはやっぱりこれまたお決まりのビールを飲む。 「臨床大変ですか?」 「まあまあ」 会話終了。 なんて素っ気ない返事なんだ。 「蜜は、どうなの」 「は?私ですか?」 キッチンのカウンターに並んで座っていたあたしのスツールを若先生がクルリと回して自分の方を向かせた。 「仕事楽しい?」 柔らかく微笑む若先生の出現に 頭と身体の反応が比例しない。 ひ、久しぶりに会ったから 優しいのかなぁ。 なんて、失礼な事を考えてみたりする。 「仕事は、楽しいです」 「仕事は?」 ふーんと言いながらあたしのチュニックの裾から右手を差し入れた。 「また他所からちょっかい出されてない?」 よそ、から? 頭を過ったのは大森先生で。 だけど、太ももを這う掌に期待している自分に苦笑いする。 「出されて」 「出されてない、訳ねーか」 出されて、無い、と言おうとして セリフが被せられる。 「ちゃんと、振り払ってる?」 「だ、出されてません…」
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