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「……………」 暫く頭の中はボーっとして。 特に何か考えていた訳ではないが、長い廊下を歩いていく。 …さん。 おり…ん。 「折原!」 腕を捕まれて、ハッと気付く。 すれ違いざまでも気付かないなんて 「あ、大森先生」 見上げると表情の無い瞳。 「こっち、来て」 捕まれた腕はそのままにズンズンと逆方向に戻って突き当たりにあるトイレの扉を開ける。 「あの、先生、何ですか」 「…………」 何も答えない大森先生に物凄くイラっときた。 「失礼します」 体を翻した時 ガシッと捕まれた肩 イライラに怒りが少々プラスされて 出た言葉は 「離して」 驚くほど低い声 そして、きっと今までにあまり聞いたことのない音 振り向きもせず 待つ事、数秒。 あたしの肩がフッと軽くなる 例えば この時、無理矢理にでも止められていれば この人を嫌いになるだけで済んだのかも。 例えば この時、あたしがいつものように大森先生に文句の一つでも言っていれば事なきを得たのかも知れない。
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