18

34/35

2078人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
こんな廊下の一番端っこ迄、意味もなく連れてこられて、また向こうまで行かなきゃいけない、っていう思いと さっき聞いた噂話の真偽が不明なのと とにかくビックリするくらいに乱れた心の中。 こんなに動揺するんだ、あたし。 そんな必要ないくらい、愛されてるはずなのに。 行って戻って来た道を また引き返してロッカーへ向かう。 長い廊下のこちら側からは死角になったところで、向こうに見える二人。 どちらも見覚えのある、人目を惹く容貌で。 あぁ、噂の二人、だと思った。 腕を絡ませる女性は 夕べ見た、ブロンズヘアの綺麗な人で。 「お疲れ様です」 見知った男性に声をかける。 頭を下げて通り過ぎて その瞬間から心臓がザクザクと聞こえてきた。 「お疲れ」 少し後で聞こえた音は いつもと変わらない低いモノで 昨日、明け方迄何度も聞いたソレと変わらない 若先生があんな風に歩くのを 初めて見た。 何かを囁くブロンズの女性。 日本語では、無い。 それだけ、分かった。 そして、何故大森先生があたしを引っ張って、一番端っこのトイレに押し込めたか。 それも、分かった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2078人が本棚に入れています
本棚に追加