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パタン、とドアを閉めて
暫く考える。
な、な、な、な、なぜ。
ここにいるんだ。
っていうか、連れてきたなら、連れてきたで一声掛けろっつーの!
バカ兄貴!
ドキドキしながらクローゼットに移動して。
湯上がりバスタオル姿を何故か前後、鏡に写してチェックしたりする。
………へんなモノが出てたりしたら、もう顔すら合わせるのに苦労する。
「あ゛ー」
カバンをキッチンに忘れてきた。
しかも、水も置きっぱなしだし。
もっかい行かなきゃダメだな………
呟きが終わる頃には部屋を出ていた。
リビングからは楽しそうに笑う兄の声と、それに紛れる大森先生のモノも聞こえて、開けるのが、ちょっと躊躇われるドアを半ば勢いで開けた。
あたしはさっきと同じように直ぐにキッチンへ滑り込み、カバンと水を手にする。
「みつー、ビール取って~
ついでにツマミもー」
はぁ~??
ソファーに埋もれたお兄様がビールの缶を振りながら、もう、無いの、というアピールをしていて。
何時だと思ってるんだ、何時だと!
あたしは仕方なしにビールを2本取り出しソファーへ向かう。
「どうぞ」
「蜜も飲めば?」
「あたし、沢山飲んできたからいい
大森先生、ごゆっくり」
空の缶を引き上げて、これまた仕方なしにツマミ作りに取りかかる。
チーズ、クラッカー、ストックレシピから何点か出してやる。
これで文句ねーだろー。
「どうぞー」
「サンキュー」
「有り難うございます」
「蜜も飲まね?明日、休みだろ?
大森先生も明日休みなんだって、駅でバッタリ会って連れてきちゃった」
そんなお茶目な感じで言っても可愛くないし、50なオヤジが。
「楽しい時間をお過ごし下さい」
今日の、いや、もう昨日か。
昨日の玲奈ちゃんばりにヒラヒラと手を振って あたしは部屋をでた。
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