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憂鬱な帰り道、頭を垂れながら歩く。
なんて、姿勢が悪いんだろう。
人間は寝溜めなんて出来ないのに……
そんな事を思いながら、駅を出てマンション迄の道のりを歩いていると
これまた、綺麗な男女が何やら怪しげな雰囲気を醸し出しながら歩いてきた。
こんな昼間に
この人に会うなんて、ちょっと珍しいかも
だけど、連れている女性は泣いていて
こっちに向かっている間に
完璧に目が合ってなんだか気まずい……
と、思っているのはあたしだけなんだろうな。
すれ違う瞬間まで
挨拶をしようか、どうか悩んだけど
結局そのまま通りすぎた。
松本さんと、たぶんその彼女
泣いていた彼女が何故かあたしとダブって
勝手に二人が修羅場を迎えていたんだと想像した。
あぁ、ダメダメ。
すっかり噂に惑わされてる。
本人から話を聞くまでは何も信じちゃいけないんだってば。
さっき、大森先生に取った態度もすっごく大人げなかった気がする。
今さらだけど。
お互い離れた所にいるんだから
色々あったって不思議じゃない。
しかも連絡だってほとんど取ってもないのに、近況なんて分かるわけがない。
だけど
若先生はそんな事になるような事を
する人じゃない。
……そんな事ってどんな事よ。
部屋に入るなり
鞄とダウンを放り投げて
お風呂にお湯をはる。
冷蔵庫を開けて
何故だか手にしたビールの缶
蓋を開けてゴクゴク喉に流し込んだ。
「あー、旨い」
一寝入りしたら
サンロにでも行こう。
そして 、軽く飲みすぎないように飲んで
ザックリ寝よう!
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