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「女々しい、って女っていう字が2つも並んでるんだから当たり前じゃないですか
女はみんな女々しいですよ。」
「アンタやっぱムカつく」
「そりゃどーも」
ヒヒヒ、と笑って前を向く。
「涼とは楽しくヤってんの?」
「は?」
「あれ?別れたの?」
「いや、そゆことじゃなくて……」
ビックリした。
松本さんから、若先生の事を聞かれた事はこれまでに一度も無かったから。
「ふーん、つまんない」
松本さんは、ジロリ、と湿った視線をあたしに落として呟いた。
「ま、付き合うんだったらアンタみたいに後腐れない感じの方がいいかもね」
「は?」
「後腐れたら、面倒なだけじゃん」
「何ソレ、良く言う!
自分は後腐れズルズルだった癖に」
嫌味の一つや二つ、こうなったら言ってやろう、そう思って、残りのビールを飲み干した。
「後腐れ?あぁ、アレ?
後腐れでも何でも無いよ、ただこんなミジンコに俺が負けたかと思うと腹立って」
「はぁー!?」
腹いせ?
腹いせに嫌がらせ??
「うわー、腹立ってだって。
嫉妬じゃないですか、ソレ」
「アンタ、あんまりなめてると痛い目見るよ」
「ふん。根性悪っ」
「……お前ね」
「何ですか」
あー、またまたなんて可愛いげの無い態度、取ってるんだろう。
「……なんで泣かしたんですか」
話題を変える為にも
首突っ込んでやる。
「は?」
「昼間の彼女さんですよ、泣いてたじゃないですか」
少しの間。
「あぁ、ムリだから」
「無理?」
なんか、聞いた事ある、セリフ。
「そ、彼女じゃ無理になったから、それ、伝えたらショックだったんじゃない?」
無理って。
どこらへんが?
あたしが軽く首を傾げていると
「分かんない?」
その後、スッと近寄ってあたしの耳元で囁いた。
「セックス、出来なくなった」
「っ、ひゃっ!」
何事も無かったように離れた松本さんはお代わりウォッカを口に運んで
「涼に前、そう言われた時頭にきたのは事実で、だけど自分もこうなって、あぁ、無理、ってこういう事かって」
「はぁ」
頼りない相槌を返すあたし。
「遊び相手を探すのは簡単だけど
暫くは止めとくわ、ホント面倒くせ」
濃い、濃い透明な液体を
どうしてそんなにも喉に流し込めるんだろう、と思っていると。
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