オレ様日記4

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浮かれていたせいもあって 研修医時代の話で、いつもよりよく口がまわる 「あのヒトのオペに立ち合った時、今までの医者人生がひっくり返った」 それまでは 通り一遍の事だけをこなして 要領よくやれば、それでいい そう思っていた ちょっとだけ秀でた頭と ちょっとだけ世渡りのうまかったオレは そんな具合でなんでもサラサラとこなしていたつもり、だった あの時までは… ちょっと想い出に浸っていて 次に繰り出された蜜の思いがけないパンチに思わずブレーキを踏む 「そうですか。 あたしも若先生のオペに一回入ってみたかったです」 は? いま、なんつった? 後ろからクラクションを鳴らしながら通り過ぎる車を視界の端で捕らえながら 車を路肩に寄せる いや、待てよ 蜜、もっかい言って? オレはエンジンを切って 蜜の方へ体ごと向き直る 「蜜」 「は、はい」 オレのセリフを遮るように 途端に唸る携帯のバイブレーション 短く、小さく吐いた息 恐らく蜜の後ろで震え続けるソレを指差して オレはシートに体を預けた
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