オレ様日記10

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誰かが オレを見下ろす視線が 今日ほど、いや、今ほど逆鱗に触れるように感じた事は 今だかつて、ない 「吉川先生、こんにちは」 大森とここで会ったのも必然か つい今し方ソコから出てきた蜜 そして、次いでソコから出てきた大森 ソコとは、この隔離されたタワー館の扉を挟んですぐ側の、衝立と観葉植物の置かれた場所の事で 「大森」 「はい」 「唇、切れてるぞ」 「そうですか」 少しの間が オレの苛立ちを更に募らせてはいるが 「噛みつかれたか」 「はい」 相も変わらず 表情を動かさない大森 逆に見事だ 「悪いな、他所にはナツカナイように 仕込んでんだ」 「そのようですね」 大森とオレの間で 放電されるのは、これが2回目だ 特にこれだけで済めば ここだけに納めてやろうと 出来ればそうしてやろうと 次の大森のセリフを聞くまでは そう思っていた 穏便、そう 穏便に
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