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妬心に狂いながら
蜜を抱いているのに
彼女の反応は頗る強くて
掠れる音でオレを呼び、
飛ばないようにオレに縋る姿に
真っ黒の陰に潜む赤が侵食しだした
後々、聞いた話だが
嫉妬に狂うのは、その愛情の深さの裏返しだと
親友に言われる
この話はまた、いずれ語るとして……
黒が飲み込もうとする全てを
赤は強い勢いで覆い尽くそうと対抗する
どうして、相対する白じゃないんだろう
こんな時に考えて
「蜜」
名を呼んで応えるのは身体
原色の波が押し寄せてくる
蜜、みつ……
もう何度も押し上げた筈
見下ろした瞳に溢れる滴
小さく小刻みな呼吸
蜜が伸ばした手を握って
そのままキスをする
この日のオレは本当に酷い男だ
オレを包んだ筋肉が収縮を始める
そして、
唇を離すことのないまま彼女の口腔に
滑り込ませたセリフ
「オレ、暫くアメリカに行く」
その直後、蜜の瞼が閉じられて
涙が流れた
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