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もう、限界だ
そう思っても、人間はなんとかやっていけるもんだな
いつだったか
蜜を取り込んでない事に気付いてから
また時間が恐ろしく流れて
そう考えてオレは隣を見た
「何ですか、吉川先生」
「お前、オレの考えてる事、読めんの?」
「は?」
すっとぼけた顔をして
蜜が器械を渡してくる
「違う事も読んでくれ」
「はぁ?」
こんなにスムーズに進むオペと
オレの心の中は裏腹で
「で」
電メス、という前に目の前に滑り込んだ
それを受け取る
あぁ、いらねぇ
声を出す必要が、ねぇ
前立ちの、大森の手の中にもどんどん器械が飛び込んで行く様子を見て
オレの微笑い(わらい)の泉が溢れ出した
次々に欲しい物がサーブされる
なんだ、こいつ
オレが次にやろうとした事が理解できていないと、こうはならないだろ
「スゲー」
麻酔医の鈴木先生が呟いた
スゲー、その言葉通り
大成功の上に、かなりの時間短縮をした
今日のオペ
「お疲れ様でした」
そう言ってオレ達を見送る蜜は
やっぱり別人のようだった
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