オレ様日記9

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オレ様日記9

暑さ寒さも彼岸まで、というが 結構あてになるもんだなぁ、と 染々先人の奥深さを噛み締めたのは ちょうど彼岸と呼ばれる頃だった そんな少しずつ、雲の間から漏れる光の帯にも暖かさを感じ始めた頃 オレのアメリカ遠征が正式に決定する 8月頭には移動が可能なようにしてくれ、との事だった そんな話を何故か、また、大武に 嗅ぎ付けられて そして今 大武の激がオレに飛んだばかりだ 「なぁ、ほんっとに涼、ダメダメ」 あーぁ、と首を左右に振りながら オレを冷たい視線で捕らえる 「うるせ」 「まだ、言ってないなんて、どうかしてるよ」 大武の綺麗な顔に、その眉間に深い縦の線が彫られた 「それとも、このまま高飛びする気?」 そう、この会話から推測される事は一つ オレはまだ、蜜にアメリカへ渡る事を伝えていない 色んな理由をつけてはいるが 要は言えないだけだ 何にも進歩しちゃいない 「そのうち言うよ」 「ふーん」 内科の医局へ来たのは外科処置が必要な患者へのカンファレンスの為だった 「痴話喧嘩は別でやってくださいよ! 先生方!」
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