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「蜜の言う噂の彼女、あれは
向こうで世話になってる教授の娘だ」
ベッドの背に凭れながら
チラリと横目で蜜を見て
反応を確かめるも……無反応
「彼女はやけに親切で……」
ピクリと動いた左の眉毛
「オレに付きまとってくる」
微動だにしないその姿が
また、なんとも言えず
微笑ましくなる
本当は先に言い訳をしなきゃいけない筈だったのに
欲に駆られて蜜を抱き
そして、まだ燻る次の火種に
息を吹き掛けて大きくしようとしている
たちが悪い
クッと喉の奥で笑いを堪えて
早く次の一手に着手したくて
また、口を開いた
「オレにとっては迷惑以外の何者でもねーけど」
そう
甚だしく、迷惑だ
「マリエには迷惑だと伝えたよ
強行手段に出やがったけどな」
また
跳ね上がった左の眉毛に
愛着を持ちながら
バスローブにくるまった蜜を抱き寄せた
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