オレ様日記15

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風呂から出ると メールの着信を知らせるランプが点滅していたが オレにとって 今はソレどころじゃなかった 体にこびりついたかもしれない 嫌な甘さを払拭し 辛口のスーツを身に纏う ギャラリーが、マリエに時間を掛けすぎだと騒ぐからな 手っ取り早く着替えを済ませて 早いとこ謁見を済ませようじゃないか ネクタイを締めるのが 久しぶりのせいか首の辺りが 少しだけ窮屈に感じた さて、出陣しますか ランプの点滅するスマホを胸ポケットに 忍ばせて部屋を出た エレベーターは何事もなく 25のフロアへ到着を知らせる 再度首もとに手をやり ネクタイの結び目を確認 「nerves?」 (緊張してんのか?) 一人ごちて まさかな、と思い直す 折原と掲げられた表札の前に立ち ドアフォンを押して 開いたドアの向こうで オレを見上げて固まる蜜に 愛しさがふんだんに込み上げる ハッとしたように 蜜が動き出した 「お、お出かけですか?」 そのなんとも間抜けな問に オレにしては可愛らしい笑いをひとつ 「入ってもいい?」 そう言ったと同時にオレの指が 蜜の唇に伸びていた
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