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通話を終えて あたしに気付いていた若先生が 手招きをする。 「あ、の、島田先生が 呼んでます」 「そう」 歩み寄りながら、伝言を口にして 2メートル程手前で立ち止まる。 柵に背を預ける、その立ち居振舞いに 膨張した心臓が 不正なリズムを招く。 「お疲れ様でした」 「うん、お疲れ」 「ハリー先生から、連絡だとか、です」 「あー、今、聞いた」 「へ?」 「……ハリーから」 唇の端に 乗せた笑みは、いつものよりも 少しだけ爽やかで それは、陽の当たる場所だからだろうか。 「あ、そぅですか それだけ、です」 「うん」 「じゃ……」 「蜜」 じゃあ、戻ります、と言う筈 でした。 「わ、わか」 2歩近づいて フワリとあたしを包み込んだ若先生が その束縛を少しだけ強くして そして、緩める。 見上げると ちょうど逆光線に重なる若先生 本当の、後光だ……。 「蜜、一緒に来てくれないか」 「え……」
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