終章 オレ様日記 final

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瞼の向こうが明るくなっている 事に気付いて 意識が覚醒に向かう 同時に 蜜がオレの囲いの中でクルリと反転した 「いてぇ」 ずっと下敷きになっていた 左腕が、これまた有り得ないくらいに 痺れていて、そっと、抜き去る 大事な商売道具なんですよ 気をつけてクダサイ、オレ グーパーを繰り返し 永らくの拘束から解放され、喜んで膨張する血管のむず痒さに 少しの抵抗を覚えながら 明日のオペは血管の吻合が 一番大事なとこなんだ 左手はバリバリ重要なポジションなんですけど そう、諭して やっと、普段の血の流れを 取り戻した腕を右手で撫でた 「わっ」 思わず声が漏れる 「……痺れ、ました?」 きっと、一部始終を見ていた蜜が 掠れた声で、呟いて その音に また、疼く 起きている事に気付かずにいたので 目を開けた蜜と視線がぶつかり 心底、ビックリした
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