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陽もとっぷり暮れた頃
マンションに独りで戻ってきたオレは
荷物のパックを済ませ
コーヒーを落としていた
流しに置いてある
ヴィンテージワインのボトルを見ながら
「くそー」
小さく呟いて
夕べ、蜜を甚振った(いたぶった)後
落ち着かなくて飲んだ事を
今更ながらに後悔していた
いや、落ち着かなかったんじゃない
嬉しくて
興奮し過ぎたんだ
カッコ悪い、オレ
薬を飲んでいた事に限りなく
落ち込んでいた癖に
薬を止めたと聞いて
しかも、望んでいた事が現実に起こるかもしれない、と思っただけで
血涌き、肉踊り、オレ猛る
「有り得ねぇ…………」
…………けど、有難ぇな」
今日に限って
蜜は夜勤で、オレは明日の朝には
また向こうに飛ぶ
本当なら
もっともっと愛してやりたいが
それはまた、楽しみにとっとくか
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