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あぁ、アタシの赤ちゃん。
もうすぐ、なんだね。
階段横の行灯にも火を灯し、足元に気をつけながら、階段を下りようと足を伸ばした。
すると―――
ドン!!!
「きゃっ!!」
いきなり、アタシの背後に強い圧がかかり、その衝撃で階段から足を踏み外した。
ゴン!ゴン!ガン!…
「あ、ああああ!!」
一体、何が!?
しかし、状況を考える間もなく、アタシは階段を転がり落ちていた。
とにかく赤ちゃんを!
赤ちゃんを守らなくちゃ!!
そうは思うが、高速で階段から転がり落ちる今、アタシには上手く体を動かすことすらできなかった。
「いや、いやぁあああ!!」
階段にぶつけ、体中あちこちが痛い。
そして痛みと共に、頭からも、下半身からも…生暖かい液体が流れていることを感じていた。
赤ちゃんが…!赤ちゃんがああ!!
ゴン!ゴン!ゴロゴロ…ドターン!
痛みと出血を伴い、わずか数秒でアタシは1階へと転げ落ちていた。
「あ、赤ちゃん…」
特に腹部が強烈に痛み、血液がとめどなく流れ出ているのがわかる。
「絶対に…生きて…」
意識を朦朧とさせながら、我が子を確認するためにお腹へと手を伸ばそうとしたその時――階段の上に、誰か人がいることに気が付いた。
あの人…は…
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