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しかしそれでも。
愛しい友次郎は松枝の呪縛から解放されず…母を感謝しなかった。
それどころか、この私を通報したのだ。
「松枝、松枝ぇ…」
と泣きながら。
我が息子は母である私ではなく、松枝のことばかり思っていたのだ。
悔しい。悔しい!
松枝め。
卑しき者のくせに友次郎をたぶらかせよって!
この町奉行所で取調べを受けている今でも、あの女が憎い。
死んで当然の女を殺しただけなのに私の何がいけないのか。
「で、おぬし。
他にも殺しをしておるな?」
ギラギラと松枝への憎しみを募らせていると取調べをしていた吟味方が私に話しかけてきた。
松枝の他に、殺し?
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