その男、つつじ

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「ねーねー、ひいおじいちゃん!あの花なんていうのー?」 縁側に座っていたまだ5歳の少女は家の庭の中央にある一番大きな木であり、見事にその葉が見えないほど立派に咲いている花を指さし隣に座っていた曽祖父に聞いた。 「あの木はね、ずーっとずーっとこの家を守ってくれてるんだよ。」 「ずっとずっと?」 「そう。ずっと、ずっと。優子も私のこともみんなみんな守ってくれてるんだよ」 優しく、儚げに彼女の曽祖父はその木をみて笑みをこぼした。 「この木の、花の名前はね…」
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