第1章 残念モンスターズ

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昼休みが終わり授業を終え 紫吹を迎えに行き、家へ帰る 頭の中から昼間の女の子の事が離れない 一目惚れなんだろうか いやそんな感覚じゃない 何か違和感がある どこかで会った事が… 夕飯を作りながら考えていると包丁を向けた紫吹が問い掛けてくる。 ー今度はどこの女?ー 相変わらず鋭い嗅覚を持っている。 我が妹ながら天晴れよ だがこんなときにも俺は冷静な対応をする。 ー今日は紫吹の好きな納豆巻きにしようなぁ、兄ちゃんが巻いてやるぞ~ー ーホント!?ー これが俺の生存戦術だ 好きな物を知りつくし、そこに俺という存在を加味させることにより紫吹の機嫌をとる……我ながら情けない兄だ。 海苔と納豆、酢と砂糖とレモン…レモンが無い レモンが無い! 大変な事なので二度言いました 酢飯への少量のレモン汁、そこから広がる爽やかな香りと酸味、それはまさに草原に吹く心地よい春風のよう そのレモンが無いだと!!! 一体どこのショッカーの仕業だ! もしくはどこのムサシコジローが盗んだ! どこぞの勇者さまお馴染みの上がり込み泥棒か! 紫吹が俺の服の裾を引く 紫吹は手に我が故郷の宝を持っていた レモンに負けず爽やかな香りを放ち、和・洋・中どんな料理の邪魔をしない最強の味方 スダチ様だ 知らない人も多いかも知れない 一目見てカボスという人が大半だ だがこれはスダチという阿波徳島の最強兵器だ これが有れば至極の納豆巻きが出来る! 燃え上がる俺を見て目を輝かせる紫吹 燃え上がり方にドン引きしている芽吹 俺はそんな事を気にせず料理を作り続けた
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