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酢飯を作り、海苔を用意し
少量の出汁と混ぜた納豆を
完璧だ、申し分無い出来だ
後はにぎやかしにきゅうりやツナマヨを作り完成
満足気な俺の顔は食卓に顔を出さない雪吹姉さんのおかげで一気に素に戻る。
自分が呼んでくるからと紫吹が姉さんの部屋へ行く
だが、帰ってきたのは紫吹だけだった。
ーお姉ちゃん今日はご飯いらないってー
雪吹姉さんが俺と紫吹が作った飯を食わないなんてこれが初めてだ。
やはり何かおかしい
俺は雪吹姉さんの部屋へ行った。
ドアをノックしても返事が無い。
断りをいれて、ドアを開けようとしても鍵が掛かっていて入れない。
ー姉さん、晩飯食べないと体に良くないよー
当たり前の事を言っただけ
何もおかしなところなど無い
だが俺は少し恥ずかしくなった。
ー……陵ちゃん、二人をお願いー
細々とした姉さんの声は俺の体を突き破って心に直接切なさを伝える。
姉さんが居なくなるかもしれない
そんな事を思わせる言葉に俺は何も言えなかった。
今まで散々姉さんは俺達の為に頑張ってくれていた。そんな姉さんに俺は頑張ってくれなんて口が裂けても言える訳がない。
結婚しても良い歳だ
恋愛に夢中になったっていい
ひた向きに仕事をしてもいい
俺達兄妹の…面倒なんて見なくていい
姉さんの部屋の前で言い聞かせる俺は眼に涙を溜め込んで震えていた。
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