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『使用人』
さっきの藤堂先輩の言葉が蘇る
私の母は美優の家で住み込みの家政婦をしている
父親は私が幼い頃に事故で亡くなった
美優の両親は、私を美優と変わらず育ててくれた
何故なのかは解らない、５年前に美優の母親が病気で亡くなった時
『貴女のお母さんに美優のお母さんになって欲しいの』
病の床で、美優の母親が言った、優しい人だった
「ちとせ？」
「あ、ごめん何？」
ハッとした私を不思議そうに見る美優
「ちとせ、まだママが言ってた事気にしてるの？」
私はアイスコーヒーの入ったグラスに視線を落とした
「私、ちとせのお母さんがママになってくれたら嬉しい」
「美優？」
「だって、ちとせのお母さんがママになってくれたら私達本当の姉妹になれるじゃん、他の知らない女なら絶対イヤだけど、ちとせのお母さんなら大賛成、綺麗で頭良くて何でも教えてくれるしね」
美優…貴女がそんな事思ってたなんて…
「ありがとう美優」
「何お礼言ってんのよ、私さ今でも覚えてるんだ、美優のお父さんが遊園地に連れて行ってくれた事楽しかったなぁ」
「美優、迷子になったよね」
「うわっ！恥ずかしい事思い出さないでよ」
美優と私は笑っていた、あの悲惨な事件がこの後待っているとも知らずに…
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