忘れ得ぬ一夜

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「打ち合わせ中に高田から連絡入ってた。この後オアシスタウンの現場行けなくなったって」  私と課長が沖縄の件で抜けた後、隼人興産のフォローは入社3年目の高田くんに任せてある。  確か今日は、様子見がてら現場に差し入れを持って行くと言っていたはず。 「代わりに俺が行こうと思ってるんだけど、麻倉も一緒に行かないか?」 「オアシスタウン、ですか……」  久しぶりに耳にした名前に、僅かに胸が軋んだ。  隼人興産の現場なんて本当は気が進まないけれど、仕事に私情を挟むわけにはいかない。
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