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「わ、嬉しい。ありがとうございます」
『リストランテHira』は地元でも有名な老舗のレストランだ。その二号店をぜひオアシスタウンにと言い出したのは、実は達哉だった。
しかしいざ蓋を開けてみると、創業以来築いてきたものを守りたいオーナーシェフと、二号店の出店に意欲的で、店に新しい風を入れたい二代目シェフの間に挟まれて、私たちが思っていた以上に交渉は難航した。
頑として首を縦に振ろうとしないオーナーシェフに、達哉は必死で説得を試みた。そんな達哉の熱意に心を動かされ、私も彼と一緒になって、必死にオーナーを口説き落とした。
私にとっても『リストランテHira』は、思い入れのあるレストランなのだ。
「わあ……」
レストラン街の一番奥、まるで外界から切り離されたような閑静な場所に、『リストランテ Hira』は建っていた。
まだ建物の周りを囲む足場は外されていないし、看板がついているわけでもない。でもその場所に出来つつあるのは紛れもなく、私と達哉とで一から創り上げた『リストランテ Hira』だった。
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