忘れ得ぬ一夜

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「今は……あの時異動を断らなくて良かったって思ってます。本当に」  あの頃の血気盛んだった私を思い出したのか、プッとふき出した課長を軽く睨みつけた。その時、 「北山課長、……麻倉さんも。お久しぶりです」  突然背後から聞こえた声に息を飲んだ。 「これは……上村さん。どうも、ご無沙汰してます」  先に答えた課長にほんの少しだけ遅れて振り返る。  私たちのすぐ後ろに、達哉がいた。
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