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「あれ、上村さんじゃないですか! いらっしゃるなら連絡してくださいよ」
「すみません、急に時間が空いたもので」
私たちを案内してくれた建設部員の男性が、達哉を見るなり駆け寄ってきた。
どうやら達哉は現場の人たちにも慕われているらしい。彼の声を聞きつけ、他の建設部員たちもこちらにやって来た。
「上村さん、聞きましたよ。ご結婚なさったんですよね」
「水臭いなあ。教えてくださいよ、めでたいことなのに」
彼らが口にした言葉に、思わず耳を疑った。
達哉が結婚……?
すかさず達哉の左手を確認する。視界に入る、薬指のリング。信じられなくて、一瞬きつく目を閉じた。
そんな私に、さらに彼らは追い討ちをかける。
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