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「それにしても意外でした。まさか上村さんがーー」
「麻倉」
左肩にかかる圧に我に返る。振り返った先に、口元に柔らかな笑みを浮かべた課長がいた。
瞳が、私に冷静さを取り戻すよう訴えている。
……一体、何を口走ろうとしてた? 私。
「上村さん、お話中のところ申し訳ございません。実は次の予定の時間が迫っていまして」
「そう……ですか。こちらこそ、お時間取らせてしまって申し訳ありませんでした」
達哉の、あからさまにホッとした顔。そして建設部の面々の居心地の悪そうな様子に、一気に後悔が押し寄せてくる。
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