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「いらっしゃいませ。お待ち合わせですか?」
「……いえ、私一人です」
その店は一瞬一人で入るのを躊躇うほどオーセンティックなバーだった。
丁寧に磨かれた床やカウンターが、控えめな照明に柔らかく照らされ、この店がこれまで経てきた時間の長さを感じさせる。
「カウンター席でもよろしいですか?」
「ええ、お願いします」
緊張を柔らかな物腰のバーテンダーが解してくれた。私はほっとして、カウンターの中に立つ彼の斜め向いに腰を下ろした。
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