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案内された俺は、3年2組の教室の前で待たされていた。……ん? 3年1組にも転校生かな? やたら小さい女の子がいる……。
教室がにわかにざわついている……。そしてしばらく経ち先生の声で生徒たちのざわめきは静かになる。
「突然だが、転校生の紹介する。名前は波崎光刃」
「みつば!? ってことは女かぁ!?」
「どんな子かな……可愛いかな」
うわぁ……すんげぇ嫌な空気。つーか先生よ……性別くらい言ってくれよ。めちゃくちゃ入りずらいじゃねーかよ……。
ここは一つ……奴等に舐められねーような登場のしかたをしねーとならねぇな。俺はキッと扉を見据えた。
「それじゃ波崎光刃君……どーぞぉ」
……どーぞぉじゃねぇよ……この……この……!
「バカ野郎がぁぁ!!」
俺は怒声と共に教室の扉を蹴り破った。バタンっと扉が教室側に倒れる。生徒たちは皆シーンとなっていた。沢村先生も口をポカーンと開け、こちらを見ている。
俺はまっすぐ黒板に向かい、一本のチョークを手に取った。そして黒板に殴るように『波崎』と書いて見せた。
「転校生の波崎。一年間よろしくドーゾ。で、先生……どこに座ればいい?」
下の名前は名乗りたくねぇ。
「おいおい……いきなり扉蹴り破るなよ」
沢村先生がちょっと怒った風な表情で言ってきた。まぁ、そりゃそうか。
「まぁいいか、はい、波崎君だ。みんな仲良くな。それで席は……あそこの2つ空いてる席の右側の方に座ってくれ」
あんだけ激しく登場したのにスルー!?
……ちっ、で……席は……っと……窓際の一番後ろか。特等席じゃねーかよ。
肩で風を切る感覚で歩き、我が物顔で言われた席に座る。よし、多分これで舐められねーはず。
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