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「……俺は波崎。よろしく頼む」
そっけなく自己紹介し、軽く手を握り返す。
「私は中村七海、よろしくねッ」
すると泰史の後ろからヒョコっと顔を出して女子が名乗った。中村七海(なかむらななみ)それが彼女の名前。しっかりもので面倒見がよさそうだな。何となくそう思う。
「えっと……確か下の名前は……みつば……だっけ?」
「……あぁ、そうだが?」
俺は泰史を睨みながら返事を返した。次に出る言葉次第で俺はコイツを殴ることになるだろう……。
「ふむふむ、で……漢字ではどう書くんだ?」
「……光る刃。はぁ……んなことどうだっていいだろうよ。女みたいな名前って思ってんだろ?」
「……かっっけぇぇぇー!!」
う……うるせぇ! いきなりなんだよ……教室中に響き渡る声で叫びやがった。下手したら隣の教室まで聞こえたんじゃねーの? 談笑してた奴らも会話をやめてこっち見てるし。
ん……?
いや……コイツ……今なんて言った?
「なあ七海……光る刃だってよ! いいなぁ……かっけぇなぁ!」
かっけぇ……格好いいってこと……だよな。この名前が? 泰史は俺そっちのけで七海さんに向かって楽しそうに子供のような瞳ではしゃいでいる。
「はぁ……すまないね光刃。コイツは昔からこういう奴なんだ。なんていうか、中身がガキっつーか」
ポカーンとしていると今度は俺の背後から男子の声が。
「俺は河上出流。よろしくな、光刃」
「あぁ……はあ……よろしく」
河上出流(かわかみいずる)彼は泰史とは真逆で大人びていて頭がよさそうな印象だ。
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