新しい学校

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「おい出流ゥ! お前今ガキっつったろ!」 「ん? そのままの事を教えてやっただけだ。間違いないだろ?」 泰史が出流に突っかかる。が、出流はクスクス笑いながら軽く受け流す。つーか、泰史……声がでけぇよ。 「まあまあ二人とも……」 泰史と出流を、苦笑しつつまるで子供をあやすような動作で七海さんが止めに入る。 「ふふ、泰史と出流が子供みたいな喧嘩始めて、それを七海が止める……いつもの事よ」 「そ……うなんすか?」 新たな女子に対して言葉を返す。思わず敬語になってしまったのは、彼女が大人のお姉さんを思わせるような容姿をしていたから……だと思う。 「私、田中悠美。泰史、出流、七海、そして私。私たち四人は子供の頃からの付き合いで、いわゆる腐れ縁ってやつなの」 クスっと微笑んで田中悠美(たなかゆうみ) が言った。へぇ、この四人は幼馴染みなのか。……幼馴染み……か。 「……所で、俺の隣の席の奴は今日は来ていないのか?」 俺は四人に向けて言った。 「あー……っと、今来てないってことは多分休みじゃねーかな?」 「……さっき出席取ったときに休みって言ってたでしょ……もう」 七海さんが呆れた風に言った。 「そうそう……気の毒なことに、新学期初日に熱が出ちまうとはな……柄原さん」 ……!? 出流の発した言葉に耳を疑った。柄原……さん? 「……出流、その……柄原さんの下の名前は?」 胸が高鳴ってるのがわかる。いや、まだ確証したわけじゃあないが……。一応確認の為に……。 「柄原鞘子さん。光刃……知り合いなのか?」 ……柄原鞘子。久しぶりに聞いた名前だ。 まだ本人と決まったわけじゃないけど、この胸の高鳴りはなんだろう。懐かしさが一気に溢れだし、今すぐにでも彼女と話したくなった。これまでのことを話したくなった。1日じゃ足りないかもしれないな……。早く……明日にならねーかな。 「所で光刃、早く体育館行くぞ。今日は授業は無い。今から始業式だ」 ……そうだっけ。出流に言われてハッとした。机に突っ伏して寝たフリしてる場合じゃなかった。
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