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その日は始業式をし、クラスで沢村先生の話を少し聞いて終了した。転校初日、無事終了だ。そして帰ろうとしたとき、泰史たちに呼び止められる。
「光刃、少しこの学校のこと教えてやろうか?」
「校内の教室の位置とか把握しておいても損はないと思うぞ」
泰史と出流だ。軽々しく下の名前で呼びやがって……。でもなんでだろう。コイツら四人はバカにしてくる気配もない。むしろ格好いいって言ってきやがった。
「……で、どうする? 都合が悪いならまた今度でもいいんだよ?」
悠美さんだ。七海さんもいる。この四人は本当に仲良しなんだな。まぁ、帰っても引っ越しの整理くらいしかやることないし、特に断る理由もないか。
「ん、じゃあお言葉に甘えようかな」
俺は四人の気持ちに甘え、学校内を案内してもらうことに。
教室を出ようとしたとき、別のクラスの男子が入り口に立っていた。威風堂々とした佇まい……何より……柄が悪い感じだ。
「よぉお前ら、まだ帰らねーの?」
柄の悪い風の男子が俺たちに話し掛けてきた。
「これから転校生のこと色々案内してやるところなんだ。アニキは帰り?」
「んー……どうせ帰っても暇だし、お前らに付き合うかな」
……一緒に歩くことになった。
「ちょいちょい……七海さん、あれは誰?」
俺は小声で七海さんに尋ねた。
「えっとね、彼は3年3組の伊庭陽輝くん。私と悠美は伊庭ちゃんって呼んでるよ。泰史と出流はアニキって呼んでるの」
「……アニキ?」
「そうなの、色々な事情で今年20歳になるんだ。だからアニキって呼んでるの」
……ハタチィ!? トリプったってことか……? 伊庭陽輝(いばはるき)卒業を前にハタチを迎えるとは……。
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