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「あの……伊庭先輩、今日からこの高校に転校してきた波崎光刃です。一年間よろしくお願いします」
そう言って俺は軽く会釈した。しかしそれが気に入らなかったのか、陽輝先輩は睨むように目を細めて、その様子を見ていた。すげぇ怖ぇ。迫力満点なんだけど……。
「あーダメダメ、光刃」
困った俺を見かねてか、泰史が割って入る。一体何がダメなんだろうか。一応先輩に対しての礼儀として、丁寧に挨拶したつもりだが……。
「アニキは年上として扱われるの嫌いだからさ、もっと砕けた感じで接しないとボコられるよ?」
えっ、ボコられるの!? ちょっと……それは嫌だよ!
どうする……泰史や出流は『アニキ』って読んでたな。七海さんと悠美さんは『伊庭ちゃん』……後者は無ぇな。砕けた感じで、なおかつ失礼の無い呼び方……よし。
「一年間よろしく頼む……アニキ」
自分でも顔がひきつってるのがわかる。でも勘弁してくれ。これが俺の精一杯なんだ……。
「くくっ、からかって悪い。こちらこそよろしくな、光刃。俺のことは好きに呼んでくれて構わねーよ」
そう言って肩を笑いながらバシバシ叩いてきた。ちょっと痛いが、ボコられるよりかは数倍マシだ。
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