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 夏休みの後半は、タツオもジョージも進駐官養成高校の寮で過ごした。さすがにエリート校で、大量の宿題が出されていたのだ。普通なら毎日休みなくとり組んで1日5~6時間はかかる分量である。  課題は勉強だけではなかった。200回の腕立て伏せ、300回の腹筋、45分のインターバル走もふくまれる。休み明けすぐに体力測定が実施され、さぼっていれば成績が落ちるので、みな文句をいいながらも運動の宿題もさぼることはなかった。  養成高校の寮には、ぽつぽつと生徒たちが戻り始めていた。実家よりも誘惑がすくなく、勉強と運動に集中できる環境だ。学内での順位はそのまま進駐官としての将来と出世に直結している。タツオも同級生も、みな日乃元(ひのもと)の国家から給与を得ている15歳の進駐官の卵だった。  ある晩、タツオとジョージが大食堂で夕食をたべていると、同学年の女子生徒2人組がやってきて声をかけた。 「やっぱり、逆島(さかしま)くんってすごいんだね」  タツオの箸(はし)がとまった。
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