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「えっ……なんのこと」  ジョージが興味深そうに状況を見つめている。2人組の背が低くかわいいほうがいう。 「また、そんな謙遜(けんそん)しちゃって。上野の森で銃撃戦があったんでしょう」  なにをいってるのだろうか。タツオもジョージもサイコも、あの夜の件は誰にも漏(も)らしていない。背が高く顔の長い女生徒がいった。 「真夜中に銃撃戦があったんだよね。相手はナイトスコープをつけた狙撃用ライフル、それに対して逆島くんはスコープなしの自動拳銃。距離は100メートルをすこし切るくらい。夜の森のなかで敵とむきあって、ワンショットで狙撃手を倒した。ほんとにすごいね」  タツオの食欲はすっかりなくなってしまった。居心地(いごこち)が悪くてたまらない。あのとき自分はジョージに押し倒されて、銃ももたずに震えていただけだ。ジョージが笑いを含んだ声で質問した。 「敵の狙撃手というのは、どんなやつだかわかってるのかな」
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